I Love You に恋をする

I Love You – Cole Porter / David Beebee

I Love You – Cole Porter / John Coltrane

I Love You – Cole Porter / Bill Evans Trio

I Love You – Cole Porter / Keith Jarrett

コール・ポーター (Cole Porter) の『I Love You』。以前に試奏してみたときには、サビがさりげな過ぎてあっけなく感じられ、それが物足らず、それほどいい曲には思えなかった。しかし、最近になって改めて弾き直してみたときに、次第にこの曲の良さがわかるようになってきた。弾けば弾くほど味わい深い、美しくもシブい曲である。

歴代の名曲の中には、愛をテーマにしたものが多い。と言うより、音楽に限らず、全ての芸術において愛は永遠のテーマである。その意味は言うまでもない。例えば戦争をテーマに描いた絵画作品でも、その根底にあるのは愛である。愛のない芸術、デザインなんて意味がないと思う。全ての創造物において愛は重要なテーマである。外見はお洒落でも、窓に手すりのないマンションなんて意味がない。

I Love Youには、いろいろな I Love Youがある。純粋無垢の I Love You、一方通行の I Love You、別れてしまったけれど I Love You、遠く離れた I Love You、完全に冷却したかに見えた後にめでたくも復活を遂げる I Love You、二度とそこに戻ることはないけれど I Love You、家族への I Love You、危険な I Love You、嫌いなはずなのに I Love You、すれ違いの I Love You、何となくI Love You、同時にふたりに I Love You、禁じられた I Love You (個人的にこれは遠慮したいが)。

また、完全さを求め消えてしまう I Love You、完璧な人間などいないと知ってから、もういちど I Love You、キリがないですね。。

いずれにしても人の数だけ、多種多様な I Love Youが存在するのだろう。まさに I Love Youという言葉は、本能的でありながらも、人それぞれの、その時点での人生が凝縮された言葉なのかも知れない。

「I Love You」「Je t’aime」「Ti amo」「君を愛している」「オーマイガスッキャウト (Omi ga Sukiout」に至るまで、愛する言葉たちは全て美しい。それが例え虚構に満ちたものに騙された結果であったとしても、その瞬間の切なく純粋な感情はやはり尊いものだと思う。そして、繰り返しになるが、完璧な人間などいないということを許容できるのであれば、虚構もまた真実となる。

二十代半ばのころ、私にとって、クリエイティブな世界の師匠と言えるある女性と世紀末のBarで、
人生で一番大切なものって何だと思う?」それは。。
その言葉は未だに私の心の中で生き続けている。

少し話が横道に逸れるが、こちらも不完全、相手も不完全という認識でいると、人間関係がいくらかスムーズになることをすでに学んでいる人もいるだろう。

さらに話は横道に逸れ、この曲を再び弾き始めたころのある明け方、いつものようにあるメロディーが聴こえてきた。それは『I Love You』だったが、コール・ポーター (Cole Porter) の『I Love You』とは異なり、マイナーな『I Love You』だった。この曲は摩訶不思議黄昏色楽団 (Magical Twilight Orchestra) の12枚目のアルバムとして発表される予定の『愛と永遠のバラード』の中に収録されるだろう。

さて、話はコール・ポーター (Cole Porter) の『I Love You』に戻り、この曲をどのような I Love Youと捉えるかによって表現も様々に変わってくる。そして弾く度に、そのときの気分によって解釈も様々に変化する。

そんな風に繰り返し弾いているうちに、私はこの曲に恋をしてしまっているのかも知れない、なんて思うようになってきた。頭がおかしくなったと思われそうだが (そう、そんなこと今さら考えても仕方がない。。)。I Love Youに恋をする、ますます混迷を帯び、意味も不明なまま、混沌としながらも、味わいは増していく。。

理由なんていらない I Love You。


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