猫が踏んじゃったピアノと人間が弾くピアノ

猫が鍵盤を踏む音と人間が弾くピアノの音は違うかという問いかけに対して議論しているのをWebで見かけたことがある。両者が同じ、という人の根拠は物理的な意味合いからだが、ピアノを弾く人間からの観点で言うと、それらは明らかに別物だ。

ピアノには人それぞれ、猫それぞれのタッチがある。タッチが異なると音色も変わる。キース・ジャレット (Keith Jarrett) のタッチとオスカー・ピーターソン (Oscar Peterson) のタッチは異なる。また、ピアノでなくても、トゥーツ・シールマンス (Toots Thielemans) の吹くハーモニカとスティービー・ワンダー(Stevie Wonder) が吹くハーモニカでは音色が異なる。これらは同じピアノではないから、同じハーモニカではないから、録音されたときのマイクを始めとする環境が違うから、ではなく、アーティストの感性に起因するものだと思う。

最近になって改めて感じるのは、ピアノの音色は打弦距離やそもそもの腕力との関係もあるが、前後の音との関連でもずいぶん変わってくる、ということだ。前の音の強弱、タッチの長さによって、その音の共鳴と共に次の音の響きも様々な表情に変化する。さらに細かな話になると、その日の湿度、プレイヤーの体調、気分などによってもサウンドは様々に変化する。とは言うものの、楽器を演奏するときに本来理屈はいらないと思うので、あくまで、あえて言葉にすれば、ということなのだが。

人間が感性で弾くピアノの音と猫が踏んじゃうピアノの音は当然違うし、プレイヤーによっても音色は様々で、それがピアノに限らず、生の楽器の醍醐味なのだと思う。

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